フリーライターを自称した結果得られたもの
どうしたらフリーランスとして飯を食っていけるのか悩んでいた頃、とあるブログで「特別な資格などが必要ないライターは自称できる」という記事を読んだのが始まりだった。
正直、目からウロコだった。
そうか、自称してもいいのか。実績はこれから作っていけばいいのだ。
そう思い、まずはTwitterのプロフィールで「フリーライター」を名乗ることにしたのだ。
「フリーライター」といっても、実際は「フリーランスのライター」ではなく、「フリー(自由)なライターもどき」であった。順風満帆なニート生活を送っていたので「フリーターのライターもどき」かもしれない。我ながらこれはひどい。
すると、何故か毎日少しずつフォロワーが増え始めた。理由はわからない。
呟くことは名乗る前となんら変わっていないのに「文章がしっかりしている」「ツイートが読みやすい」なんて評価を受けることもあった。
ちょっとした文章を上げただけで周りから「さすがですね」と言われるようになったのだ。
この違いはなんなんだ……?
当然のことながら、短期間で文章力が格段に上がったという自覚はない。
「フリーライター」という言葉が人を引き寄せ、自分に対する見方まで変えてしまったのかと私は戸惑った。
人は肩書きに目を奪われる生き物だということが分かった。
戸惑いつつも気分は良かった。
プレッシャーなども特になかった。
いつも通りの自分が評価されているのだから、変に気を遣うこともない。
フリーライターと名乗り始めてから2ヶ月。
携帯向けゲームのシナリオを書いてみないかとの誘いを受けた。
もちろんシナリオなんて書いたことがない。
丁重にお断りしたが、人手が足りず困っているという。
これはチャンスなのではないか。
ゲームのシナリオに関しては初心者だがそれでもいいかと相談し、その仕事を引き受けてみることにした。
それから似たような依頼が数件あった。
初心者ながら一応の実績を作ったことによって、2件目以降は仕事を受けやすくなった。
そうして毎日文章を書き連ねていく内に、月数万円は入るようになっていた。
仕事として活動する頃にはプロフィールからフリーライターの文字は消えた。
実績を作るには十分すぎる効果だったからだ。
一度作ったツテやコネは糧となる。おかげで今でも仕事は入ってくる。
話が長くなったが、フリーランスで活動していきたいという人は形から入ってみるのも悪くないかもしれない。
オフ会などに参加する機会が多い人なら名刺を作ってしまうのもアリだろう。
まずは誰かの目に留まること。
実績作りの第一歩として「名乗る」ことは効果覿面なのだ。
騙されたと思ってやってみるといい。